北川千代
大正から昭和期を代表する児童文学作家である北川千代は、明治27年(1894)に榛沢郡大寄村(現在の深谷市上敷免)の日本煉瓦工場内の社宅で生まれました。
父の北川俊は日本煉瓦工場の初代工場長で、千代は工場に暮らし、深谷で小学校時代を過ごしました。
女学校に入学したころから雑誌「少女世界」などに投稿し、文学活動を始めます。また、社会主義婦人団体の「赤瀾会(せきらんかい)」に参加するなど、女性の自立を求めて活動を始める他、娼妓解放支援などの社会運動に参加する中で、社会的矛盾を直視した作品を多く発表します。また、その業績を記念して、昭和44年に日本児童文学者協会により「北川千代賞」が創設されました。
煉瓦工場や小山川の土手などを舞台とした「雪の日」「らっきょう」「汽車の婆の話」には、自叙伝としての深谷の思い出が描かれています。